2012年07月08日

犬と暮らすのならば知っておいて欲しい大切なこと。

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今回の記事は、だいぶ真面目なお話です。
シュナに限らず、できれば犬を家族としている方に
どうしても知っておいて欲しいと思うこと。
犬は太古から人間の側で暮らしている馴染みの深い動物ですが、
実はまだ判っていないコトが多かったり古い情報が未だに横行していて
きちんとした知識が知れ渡っていないという事実があります。
本格的な暑いシーズンを前に、コレだけは知っておいて欲しいし
考えて欲しいこと……犬の夏の過ごし方についてです。



事の発端は、7月3日のNHKの番組「あさイチ」で放送された「ご注意!ペットの熱中症」。
蒸し暑い日本の夏にペットを熱中症にせずに過ごさせるときの注意を紹介していました。
私は視聴していなかったのですが、フェイスブックでももすけくんときょうすけくんのママさんzakuroさんが紹介していたので知りました。
熱中症の症状の紹介、熱中症対策グッズの紹介と共に取り上げられていたのが「サマーカットは駄目」ということ。
サマーカットは駄目なのです!

前々から「サマーカットは犬にとってはものすごく苦しいこと」というのを知っていた私は、思わずzakuroさんの書き込みに反応してしまいました。
今回は何故サマーカットが駄目なのか…ということを、私なりに判りやすく説明してみようと思っています。


私が「サマーカットはよくない」という事を知ったのは、2007年3月に刊行されたこの本を読んだ時です。

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ムツゴロウさんの所で長年「犬番」としてたくさんの犬の世話をしてきた石川さんの書いた本。
2007年と言えばまだノワールと暮らし始めて1年経っていない頃で、初めてイヌと暮らすにあたって「犬に関する知識がもっと欲しい」とイロイロな本を買っては読んでいました。
躾け本もたくさん読んで、いろいろ疑問も持っていた頃……この本を読んで「躾けの方法と称されているいろいろな古い知識や間違ったやり方が未だに世の中に溢れている」という事を知った訳ですが……。
その中にこういうページがありました。

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この章を読んで、「なるほど…」と思った訳です。
でも、この事を「夏なのでサマーカットにします」とか「サマーカットにしました!! 涼しそうでしょ♪」とか「夏だけは丸刈りにします」とかいう書き込みの目立つ某SNSのトピックに書き込んだら、結構な勢いで罵倒されてしまいました……。
「シュナはスタンダードカットでも背中を2ミリとか3ミリとかの長さにバリカンを掛けるのが普通なんだからふざけるな!!」みたいな…。
……恐かったし悲しかったので、以来あまり声高に出来なかったのですね…。
正しい事を言っているし、ちゃんとした知識として伝えたかったんですけれど……。
このブログでチョロッと書いたりしたコトもありましたが、あまりあちこちで言えなくなってしまいました。
……そんな訳なので、この記事もコメント欄は閉じておきます。
自分のブログが炎上したりしたらイヤだしねあせあせ(飛び散る汗)


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さて…本題です。
どうして「サマーカットが駄目」なのか…ということ。

サマーカットにしたり丸刈りにしたりする飼い主さんは、もちろん愛犬のことを思ってされているものと思います。
よもや「手入れが楽だから」とかいう理由ではないだろうと…。
毛皮を着て夏の暑さや日差しは辛かろう…という事ですよね?
…………しかし、ちょと待ってください!!
人間の身体のシステムと、犬の身体のシステムが大きく異なる部分を持つ…という事をご存じですか?
たとえば……人間は暑くなると全身から汗をかいて、その汗が蒸発する時の気化熱で体温を下げたり上昇しすぎたりするのを防ぐけれど、犬の汗腺の殆どは肉球のみで、口を大きく開けて激しく息をする事で唾液を蒸発させて体温の上昇を防いでいる…ということ。
全身から汗が出ない犬には扇風機なんて全然有効じゃない…というのはこの「汗腺のシステムの違い」から来ています。
自力で上手く体温を下げられない犬は、一体どうやって自衛しているのか……。
今回、一番大切なのはその部分です。

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「保冷バッグ」をご存じでしょうか……薄いアルミの膜でコーティングされた発泡材が張り巡らされたバッグです。
あるいは、「クーラーボックス」でも構いません。
「クーラーボックス」は分厚い断熱材をプラスチックで挟んだ素材で出来たバッグです。
これらに冷たい飲み物を入れておくと、長い時間ぬるくならずに保管できますよね?
………では、よく冷えた飲み物をスーパーのレジ袋に入れて真夏の炎天下に放置しておいたらどうなりますか?
……………答えは簡単。
すぐに温まってしまいます。

犬の被毛はこの断熱材と同じと考えてください。
人間の様に汗で体温の調節がスムーズにできない犬は、「なるべく外気温の影響を受けない様にすること」で自衛をしている訳です。
被毛の隙間に空気の層を何層も作り出し、その内側にある本体を守っている訳です。
人間が考える「寒い時に着用する毛皮」とはその成り立ちも意味も全く異なるのですよ……。
もっとも……その「毛皮」だって身ぐるみ剥がされて鞣されてコートになる前は、生きている動物が身に纏っていて、「暑さ寒さから体温を守る」という正しい機能を発揮していたものな訳ですが。

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「暑いから短く刈り込んだ方が蒸れなくて涼しいだろう」というのは間違いです。
せっかく冷えた飲み頃のビールをクーラーボックスからレジ袋に入れ替えてしまう様なもの。
犬達は断熱材を失って、暑い外気にさらされて、体温の調節もうまく行かずに辛い状態になってしまいます。
愛情と親切心から来た行動ですから、彼らは絶対に責めないし文句も言わないと思う。
でも……できれば来年からは是非、やめてあげてください……。
「でも…短く刈った方がうちの子は快適そう……今もフローリングに気持ちよさそうに寝そべっているし……刈り込んだ身体を冷たい所にくっつけて……」
…と反論される方もいらっしゃるでしょうね。
以前SNSでもそう言われましたし。
でもそれって、断熱材を失って上がってしまった体温を懸命に下げているのではないのでしょうか?

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うちのノワールは年中モフモフしたスタイルでいます。
バリカンで刈った事は今まで1度も無く、夏が来たからと短くすることも無く、冬が来たからと伸ばす事も無く。
でも、暑さにも寒さにも対応力があります。
短毛種の子よりも暑さに耐えられます……舌をベローンと長く出してハァハァしたり、口の横から舌がダランと出てしまう…なんて事は、相当暑くならないとありません。
冬もお布団に潜ったりしないですし、ペットヒーターは嫌いです。
………コレは個体差なのかな…と思っていましたが、先日ツイッターで璃緒くんのママさんの鈴子さんとのやりとりで、どうやらそうでは無い様だ…という事を知りました。
鈴子さんのつぶやきで「犬の被毛が正しく断熱材の機能を果たす長さは最低でも2cm必要」と教えて頂きました。
…………2cmですよ!!
2cmったら、シュナだったら相当モフモフな感じがします。
………ノワールの通常のカットスタイルでは、背中は1cm・ボディは2cmです。
上の写真は現在の長さですが、3cm弱ありますね……シュナフェス前にトリミングしてから伸び続けています。
今月中にはトリミングに出さなければ!!…というところまで来ています。
けれど、ノワールが暑くてもダメージが少ないのは、たいてい充分な長さの被毛に覆われていたからだった様です。
もちろん、暑いときは「冷やす機能のある服」を着せますよ……当たり前です。
服を着せればモフモフした被毛は絡んで毛玉になろうとします。
だからスリッカーは毎日ちゃんとしてますし、だいぶ伸びている時期には「脱がせたらスリッカー」は当たり前。
スリッカーを掛けるのだって、今くらいまで伸びてしまうと1回に1時間近く掛かる場合もあります。
………でも、手入れに手間がかかると判っている犬種と暮らすと決めたのだし、手間が掛かるから丸刈りにしちゃえ…というのはどう考えても乱暴で契約違反です。
意味があって生えている被毛です。
こちらの都合で丸刈りにしたり短く刈り込んでしまうのは、ノワールに与えるリスクと引き替えにできる程の都合とは思えません。

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ノワールみたいにモフモフさせている子の方が少ないですよね。
シュナウザーはトリミングに行ったら殆どの子が背中にバリカンをかけて「ミリ」でカットしていますよね。
…………それ、アウトですってあせあせ(飛び散る汗)
また……シュナだけでなく全ての犬種の子にも言える事。
普段はトリミングに行かない様な犬種の子でも、「サマーカット」として夏前にはトリミングに出されて短く刈り込まれてしまう子が結構居ます。
近所にも多いです………。
ボディをツルツルに丸刈りされちゃってるミックスの子やらパピヨンさんやら……頭部だけナチュラルに毛を残してライオンにされちゃってるシェルティさんとか。
普段バリカンされない子はバリカン負けしちゃっていて傷だらけです……本当に可哀想あせあせ(飛び散る汗)
丸刈りしちゃったあと、元通りの毛並みに戻らなくなってしまう子…というのもいる様です。

この時期になると明らかに売り上げが増えるトリミングサロンでは、「サマーカット」をお勧めするお店は多くても注意喚起したり断ったりする経営者の方は少ないでしょう……。
獣医さんが推進する場合もあるかもしれないですね……「夏はサマーカットで涼しく」ってのは、古くて間違っているのに「固定概念」みたいに定着しちゃってますから……。
しかし、サマーカットして涼しくなるのは
人間からの見た目だけです。
既にサマーカットしちゃったり丸刈りにしちゃったり……普段から短くカットしている子や元々短毛種の子……。
それぞれの環境や温度に合わせてお洋服で調節してあげてください。
暑い外に出る時には冷感機能の高い服を……冷房の効いたお部屋の中では冷えすぎない服を……。
犬は気温22℃・湿度60%以上で熱中症になってしまう可能性があります。
冷えすぎると体調を崩します。
紫外線対策も必要になりますよ!!
また、被毛の色が濃い子や黒い子は、太陽で熱くなりやすいので殊更の注意が必要になります!!

サマーカットは全体を刈り込むのではなく、毛を梳く感じで。
長さを保って全体量を少し減らす程度が良い様です。
皮膚疾患があって…などの理由が無い限りは、丸刈りは絶対に駄目です。


読まれて不愉快になられた方がいらっしゃったら申しわけありません。
ここに書かれていることは、私個人の考えや思想などではなく犬という生き物の身体についての解説です。
ですので、「持論」ではありませんのでご了承いただければ…と思います。


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なお、上の方でご紹介した書物は既に廃刊になっている様です。
興味のある方はアマゾンで中古が何冊か出ている様ですのでそちらを探してみてください。
書かれている内容の全てを支持する訳ではありませんが、相当目から鱗が落ちる本である…と思います。
posted by まき at 23:19 | わたくしごと
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